みなさん、こんにちは。
今日はこれもメモしておこう。歴史的な会見であった。
そう、体操会のレジェンド、内村航平選手の「現役引退」会見である。
私はテレビでは見なかったが、YouTubeで先程じっくりと見た。
すると、この会見は体操の新しい時代を切り開くかも知れない重要なものであるとわかったというわけである。これである。

これによれば、内村航平選手が「現役引退」するのは、オリンピックで金メダルを目指すというようなレベルの練習がもうできなくなったこと。もうこれまでのように、何年にも渡り、次の3年後の五輪を目指して、世界最高レベルで世界最高の練習量を実施できないからだというのであった。
会見そのものは最初の10分程度だったが、後の質疑応答が非常に興味深いものだった。
詳しくはそれを見てもらうとして、私が興味を感じたのは、内村選手が人生でたった一回だけ、これが「ゾーン」というものを感じたという話であり、これが実に深かった。流石に神の領域を垣間見た本物にしかできない領域の話であった。
また、「引退試合」をこの3月12日に行う予定だが、この話の中で、今後は「競技者」ではなく「演技者」としてのプロ活動をほのめかした。
これは、私ながらに考えると、これまで体操界においては、演技者としての活躍の場はなかった。競技者を終われば、もう体操をしなくなる。これが普通だった。
ところが、フィギュアスケートは競技が終わればエキシビジョンがあるし、引退後にはプロになってフィギュアスケートショーを行う。そういう仕組みができている。
どうやら内村航平選手の頭の中には、このようなことを体操で行いたいということらしい。つまり、体操で競技とは違った意味の演技者としてのプロレベル=世界最高の舞台を作り出したい。
こういう構想を世界で初めて披露したのである。これは実に新鮮な発想である。
世界選手権やオリンピックでその歴史に競技者として名を残すのもあり得るが、それ以外に、演技者として世界最高の技を見せたり、技の美しさを見せたり、。。。こういう演技会があってもいいだろう。
あるいは、一つのショーのようなものもあり得る。
例えば、サーカスは一種の体操の演技者としての側面の応用例であるが、それ以外に、エキシビジョンという、点数の競争に限定されない演技というものもあっても良いのである。
どうやら内村選手はそういう方向の体操の啓蒙活動や教育活動を夢見ている。
私は個人的に大賛成である。
私はサッカーですら、そういうものがあっても良いと思っていたからだ。実際、バスケットボールにはそういうショーバスケットがある。
かつてサッカーでは、ブラジルのペレの時代に、ペレがいたサントスFCは欧州遠征したが、その時の試合は普通のサッカーの親善試合の形式はとっていたが、実際にはまだヨーロッパの白人選手たちのだれもできないサッカーの技を披露する、サッカーのショーのようなものだった。
ペレの股抜き、スルーパス、リフティングのドリブル、バイシクルシュート、バナナシュート、オーバーヘッドシュート、軽業のようなコンビネーションプレー、。。。
ペレのサントス一団は、こういったものを勝敗を抜きにして試合の中で見せたのである。
その結果、またたく間にブラジルのテクニックがヨーロッパの若い選手たちに伝わり、いまのクリスチャン・ロナウドに至ったのである。
体操にもそういうものがあってしかるべきである。
ぜひ内村航平選手に成功してもらいたい。
みんなで応援しよう。
さらに、彼の話で興味深かったのは、体操には800ほどの技があるという。そのうちの500を内村選手は会得してできるというのだ。
そして、さらに技の研究と技の追求をしていきたいという。
いまや非常に学者肌である。きっと大学院で博士論文を書いて体操博士になる日も近いだろう。
ハンマー投げの室伏広治選手が、大学院に入り、そこでハンマー投げの研究で博士になったことは記憶に久しい。実際、ハンマー投げの理論の中で、室伏選手が自分の経験から導き出した室伏方程式というハンマー投げの軌道の計算の微分方程式があるのだ。
きっと内村航平選手の研究がすすめば、フレッドシュナイダーの内村方程式とか、体操で内村の技の名は残せなかったが、技の研究で内村の名を残せる可能性はあるだろう。
技に名を残すという話では、質疑応答にあったが、跳馬の「ユルチェンコ三回ひねり」=「
白井・キムヒフン」という技が2013年に誕生する4年前に全日本選手権で実は世界初で内村選手が成功していたようだ。だから、実際には、「内村」か、「内村・白井・キムヒフン」と呼ぶべきものだろう。
ゾーンに近づくには「心技体」の三拍子が最高に整わないとできないというあたり実に興味深い。彼の言うには、「自分がゾーンについて語りだすと3日3晩寝ずにずっと話し続けなければ終わらない」というほどだという。
こういう意味で、今回の内村航平選手の現役引退会見は普通の会見とは1味2味違った。というより、全く違ったものだった。
おそらく集まった日本のメディアの人たちは、長嶋茂雄監督の「巨人軍は永遠に不滅です」というような「日本の男子体操は永遠に不滅です」というような言葉を内村選手に期待したのだろうが、はたしてどれほどの人が内村航平選手の言おうとした真意を理解できただろうか?
内村航平選手は、
「体操競技者である前に人間性が大事。選手である前に1人の人間であることを理解すべきだ。」
これを後輩たちに伝えたいという。
話にも出てきたが、幼少期3歳から始めた体操で、父親から口を酸っぱくずっとこの言葉を言い聞かせられてきたが、それが今は実感として理解できるというのだ。
私には彼には全く別次元の世界が見えているんだなと実感しましたヨ。
すばらしい好青年だった。まだ33歳。
今後の活躍を期待したい。
弥栄!
