みなさん、こんにちは。
さて、私の本を公開して以来、ちょっと時間ができた。それで、ウォーキングもまたできるようになった。
それで、今度は、あの声楽家の秋川雅史さんのように、「千の風になって」
を俺が歌えるかどうか、ちょっと練習し始めたんですナ。
その練習課程でいくつか実感したことをメモしておこう。あくまで私個人のメモである。基本的にこのブログサイトは、私用の備忘録のようなものだ。興味ない人、私を好きでない人は、見る必要はない。
さて、まず分かったこと。
(あ)ベルカント唱法は難しい
ベルカント唱法は、ミキさんの父君の十八番。それで、いろいろネットやユーチューブでこの唱法を調べてみたわけだ。
すると、ベルカントとは、「自然な歌声」という意味のイタリア語だとある。
何が自然か?
というと、その秘密は、「腹式呼吸」にあるという。
どうも俺にはこれができない。非常に難しいのだ。
(い)「腹式呼吸」とは何か?
確かに、中学時代のあの音楽の先生は、最近のユーチューブで見るベルカント唱法の先生たちと、まったく同じことを言っていたことを思い出した。
いつも腹を押されて、「腹式呼吸、腹式呼吸」と言われていたのだ。つまり、
横隔膜を自然に使って息を吸え
という意味だ。
それで、声楽家の先生の動画を見て、彼ら、声楽家のいう腹式呼吸を真似ようとする。ところが、それができない。
結論からいうと、声楽家のいう、イタリアオペラのベルカント唱法の腹式呼吸と、我々スポーツ選手が行っている腹式呼吸は正反対だったということになる。
英語で言えば、いま声楽家の標準理論となっているベルカント唱法でいう、腹式呼吸は
ベリー・アウト
という分類に入る。一方、我々サッカー選手やマラソン選手が行っている複式呼吸は、
ベリー・イン
という分類に入りそうだ。
ベリーアウトは、腹で吸うときに、下腹部を出すスタイル。
一方、ベリー・インは、腹で吸うときに、下腹部を凹ませるスタイル。
どうも腹式呼吸という場合に、つまり、横隔膜を自然に下げて肺にいっぱい空気を吸い込むという場合に、2種類がありそうなのだ。
そこで、いろいろ調べると、やはり、声楽の世界でも、このやり方で、前者がイタリア式、後者がドイツ式と二分するのは間違っているという意見もあるようだ。
息を吸うときは、だいだい、横隔膜を目一杯下げるという意味では、どちらも同じ。しかし、そこから、目一杯息を吐く場合に、腹を凹ませて、下腹部を出すか、下腹部が凹むかの大きな使い方の違いが出る。
この声楽の先生が、女性のヘソと性器の間の下腹部を指で押して、ここを出せという指導を行っていた。
思い出せば、大昔、50年前の中学生の時代、音楽の男の先生が、女性徒の下腹部を指で押して、「ここを膨らますんだ」と言ったり、腹を押して、「この横隔膜を使え」とか、言っていたことを思い出した。いまもユーチューブでまったく同じことをしている。
俺ら男子中学生は、この声楽家出身の音楽の先生を横目で見ながら、みな心の中で、
「このスケベオヤジ、この変態野郎ーー!!!」
「このクラスの女の子に手を出したら、ただじゃおかんぞーー!!!」
って、叫んでいたんだナア。
さて、そこで、俺は、奥さんにこの声楽家のいう腹式呼吸ができるか?と聞いてみた。
そして、奥さんのヘソと性器の中間のこの下腹部の筋肉が、息を吐くときに出るか?と、そこを指で押して聞いてみたんですナ。
そうやって思えば、なんと俺もその声楽家出身の男の先生と同じことをしていたというわけですナ。
いやはや。若ハゲのいたり。じゃなかった、若気のいたり。すんません。
(う)女性は難なくできる
驚いたことに、奥さんは難なく出来た。というより、いつもそうやって呼吸しているというのだ。
なぜなら、妊娠して出産する場合、腹式呼吸で息をしないと、体内の子供に酸素が供給できない。だから、女性は本能的に生まれついたときから、腹式呼吸を行っているのだ。
その時、お腹の中心を凹ませようものなら、お腹の子供に悪影響が出る。
そこで、女性は、横隔膜を下げるときに、子宮より下の恥骨近傍の筋肉を使ってそこを出すようにして、子宮を保護しながら、子宮と横隔膜を連動して、息を吸ったり吐いたりしなければならないわけだ。
その女性の行う腹式呼吸と、我々スポーツマンの行う腹式呼吸はまったく別物だということになる。
我々男性には、子宮がない。だから、その下腹部の一番筋肉が付いている腹筋の部分を凹まして、横隔膜を目一杯下げても何ら問題がない。
というわけで、今回の私の結論は、こうだ。
ベリー・インの複式呼吸 →男性の腹式呼吸→ドイツのオペラ →ドイツ式
ベリー・アウトの複式呼吸→女性の腹式呼吸→イタリアのオペラ→イタリア式
こうなったのではないかと思う。
そして、事実、身体の小さかった戦前戦後の日本人男性のオペラ歌手は、ヨーロッパへ行って、イタリアの女性のオペラ歌手から、ベルカント唱法を習った。
その先生たちが、日本に帰って、日本人にそれを教えて広めた。その結果、ベルカント唱法というと、ベリー・アウトのベルカント唱法だけだというイメージになった。
非常に、簡単にこの違いを証明することができる。
もし、男性が海で素潜りするとしよう。肺を大きく広げて、腹も横隔膜を目一杯広げて、最大限に息を吸う。そして、一気に潜る。そして、苦しくなっても、上に戻りながら、息を絶対に吐かない。そうしながら、最大限に息を持たせながら、最終的に水面に上がるだろう。そのときは、腹の中の1ccの空気も残らないように吐いて深呼吸するだろう。最後の1ccまで使うだろう。
あるいは、肺活量を測定する場合だ。横隔膜を最大限に使って、肋骨も最大限に広げて、肺を目一杯広げるようにして息を吸う。それから、腹が空っぽになるように、腹を凹ましながら、すべての息を吐き出すだろう。
これがベリー・インというやり方である。男性は大半がこうすると思う。すくなくとも、少なくとも私はこれしかできない。
このやりかたで、昔私の肺活量を計ると、高、大、大学院、ユタ大、ともにほぼ5000ccだった。いま胸囲は1m数センチ。
もし、ベリー・アウトで私が深呼吸したら、たぶん、海から生還できない。
かつて宍喰の海で、嵐の前のビッグ・ウェーブのとき、みなサーファーが喜んで、その中へ飛び込んでいった。
それを家族で海水浴で浜辺で見ていた私が、このプールのスイミングボードでサーファーがやっていることをできるかどうか試しに行ってくると行って、水泳パンツとスイミングの小さなボードをサーフボード代わりに、大波に挑戦したのだ。
つまり、サーファーはサーフボードの上に乗って、大波を潜って向こうへ出るというごく普通のテクニックだ。これをどうやるのか、真似しようとしたのだ。
そして、なんとか、プールのような帽子とゴーグルをつけて、水泳のキックの練習のようにして、サーファーのいる場所へたどり着く。
すると、予想通りの大波が、次から次へとやってくるのが見える。そこで、大きな波が来た。
周りのサーファーはサーフビードにさっと飛び乗って顔をサーフボードの方に寄せて、サーフボードといっしょにさっと大波を何もなかったかのように、潜ってやりすごし、また向こうの水面に出る。そうやって、さらに大きな波の場所へあっという間に行ってしまう。
ところが、俺は、その最初のビッグウェーブで、同じようにスイミングボーでやってみたら、なんと、大波の渦に飲み込まれて、あっと言う間に数メートルの深い場所に行っていた。
水泳のゴーグルをしていたから良かったが、また俺は泳ぎそのものはいくらでも泳げたから良かったが(当時はスイミングに行っていたから)、水面がはるか上に天井のように見えた。
それで、とにかく、上に行くしかないと思って、上に亀のような泳ぎでゆっくり上がっていったわけだ。なかなか上に行けなかったんだが、とにかく息を止めたまま、息を吐かないようにして、目一杯肺を広げたまま、身体が浮くのを待った。
そうやってとにかく焦らずやっていると、徐々に水面に着て、ブハーーという感じだったわけだ。
私はせいぜい1分、長くて2分だろうと思っていたが、岸に戻って奥さんに聞いたら、5分くらい姿が見えなくなったと言っていた。
あそこで、息を吐いてしまえば、俺はそこでお陀仏。二度と水面に上がれなかっただろう。
溺れる人がなぜ溺れるかというと、水中に巻き込まれたときに、悲鳴をあげたり、声を出して、息を吐いてしまうからだ。そうすれば、肺が凹んで、浮力が得られない。
とまあ、そういうような按配で、どうもドイツ式のベルカントが男性に向いているのかもしれない。今度は、女性式のイタリアのベルカントではない方を勉強してみたい。
どうもベルカント唱法は、よくわからない。