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【超現代物理学】「確実性の終焉」「時間の終焉」「宇宙際数学」→時代は革命前夜か!?




みなさん、こんにちは。

さて、きのうはちょっと徳島まで用事があり、その帰りについでに徳島そごうの紀伊国屋書店へ出向いて棚の順番に沿って最近の生物と物理と数学の本を見に行ったわけだ。(ところで、そごう徳島は来年閉店予定。紀伊国屋はまだ動向未定だった。)

やはり予想通り、我が国の科学本はNHKブックスや雑誌ニュートンと数理科学と岩波科学と講談社ブルーバックスなどの、いわゆる「標準理論」や「ノーベル賞科学」、つまり「勝者の論理」がお好きなようで、あまり特異な本や奇妙な本や怪しい本がない。

かたやスピリチュアル系を覗いてみると、最近はこっちも、矢作先生、保江先生、江原さん、。。。などのすでにある意味で「教祖さま」になった人ばかりの定番ばかりで、あまり特異な本や奇妙な本や怪しい本がない。残念ながら、私の本は科学にもオカルトにもなかったナア。


ところで、そもそも私が何を見に行ったか?

というと、最近まで私はイリヤ・プリゴジン(1976年ノーベル化学賞)の晩年の研究を紹介した本:

「確実性の終焉」
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を真面目にシコシコと読んでいるから、これに関係する本はないかと見に行ったわけだ。

このプリゴジンという理論物理学者はロシア系ユダヤ人のベルギー人である。

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このプリゴジンには、どういうわけか、たくさんの日本人のお弟子がいる。お弟子さんというか、信奉者というか、どう言うべきかわからないが、指導を受けた研究者がいるということだ。

初期には、つまり、プリゴジンが比較的まだ若くまだ無名でバリバリの時代は、蔵本由紀博士

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がプリゴジンの研究を学びに行った。そしてがっかりして帰られ、彼はプリゴジンの手法から離れ自分独自の方向へ行き、リズム現象で大発見の蔵本モデル構築した。これはノーベル賞級である。

その後、北原和夫博士

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がプリゴジンの所へ留学した。彼は生涯プリゴジンの思想を追求した。それで最近私もアマゾンでこれを手に入れた。

プリゴジンの考えてきたこと
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1円ー割引1円の0円の本だったからだ。


そして最晩年には3人の日本人の弟子がいたようだ。それが、田崎秀一博士、長谷川博博士(茨城大)、ペトロスキー山越富雄博士(テキサス大)。


左が田崎秀一博士(2010年早世) 右は宮田貴章(Qui Tran Cong)博士
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左がペトロスキー山越富雄博士
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残念ながら、長谷川博博士の写真はなかった(長谷川という姓は我が国には非常に多く、長谷川博を英語にすると多くの同姓同名が現れる。物理でも保江邦夫博士の指導教官だった長谷川洋博士がいたから、この長谷川博博士はH. H. Hasegawaで英語には登場するのだ)。

甘利俊一先生の講演会、たぶん、右端の座っている人が長谷川博博士(?)
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この3人が、プリゴジンの生涯の思想である

「時間の矢はどうして起こるのか?」
「どうして時間は一方向に流れるのか?」

という問題をプリゴジンの晩年に集中的に研究し、その問いに対する一つの回答を与えた。それをプリゴジンが本にしたものが、その「確実性の終焉」である。

その結論とは?

時間は空間より前から存在する。
時間は空間に先行する。

つまり、

はじめに時間ありき

というものである。


そんな事情から、こういうものに似たものがあるかどうかを見るために紀伊国屋へ行ってみたわけだった。

すると、これと関連する本はなかった。しかし、これとは直接は関係ないが、いくつか本質的に新しい力作本が目に入った。


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時間は存在しない
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まあ、その時の予算もあり、シャノンはまたにして下二冊を買ったのである。

というのも、そこで立ち読みした感じでは、「時間は存在しない」の真ん中付近に「空間量子」という概念が説明され、後半では「時間の矢」が議論されていたからだ。

「空間量子」というのは、まさに保江邦夫先生の師匠の湯川秀樹博士の晩年の思想であった「素領域」そのものである。


そして、「時間の矢」はまさにプリゴジンの問題(生涯のテーマ)だったからだ。

ところで、このカルロ・ロヴェリ博士

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はイタリアのユダヤ系理論物理学者だろう。すでにポスト・ホーキング博士の代表らしい。「S. ホーキングの再来」と言われているんだとか。それでちょっと調べてみると、こんな感じ。

若い頃
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最近
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なんかハリーポッターにいたようなやつである。以下の本の著者でもある。



とまあ、そんな感じであるが、前置きが非常に長くなってしまったが、本題はこれからだ。

要するに、我々物性論者や統計力学の分野の理論物理学者と彼ら素粒子論の理論物理学者とでは、同じ「時間の矢」の問題を考えるにあたっても、まったく考え方が違うということだ。

素粒子論者「時間は存在しない」
物性論者「はじめに時間ありき」


どうしてこうなるか?

そこに私の興味があるわけだ。一言でいうと、素粒子論者はトポロジーや現代数学や解析幾何学や数論的幾何学のような数学に興味があり、実際の物理現象より数学理論が好きだ。それが先行する。実際実験ができない領域を研究するから数学しかやりようがない。

そこで、もっとも小さいもの(素領域=空間量子)を扱う理論として「ループ量子重力理論」というものがある。


これはリー・スモーリン博士



が作り出したものである。このスモーリンのことは、我々の本「物理で語り尽くすUFO・あの世・神様の世界 アインシュタイン、マックスウェル、ディラック、シュレーディンガーさえも超えて」にも206〜206ページに登場する。

その中の保江先生の話では、このスモーリンは、プリンストン大時代に保江先生の数学の理論の師匠であったエドワード・ネルソン

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中学生日記

の学生だったという。そこで、例の裏のジェーソン物理学者の代表者のハロルド・ピュートフといっしょにある計算をしたんだとか。それがゼロ点エネルギーから重力が出るという計算。

ゼロ点エネルギーとは真空のゆらぎだから、真空ゆらぎのエネルギーこそゼロ点エネルギー。だから、そもそもどうして真空が揺らぐのか?ということを考えるうちに、どんどん空間を細かくしていかないと真空のゆらぎが定義できない。そこでどこまでもどこまでも空間を細かくしていく先には、「空間の素」=「空間量子」=湯川秀樹の「素領域」があることに気づく。それが「ループ量子重力理論」を導き出したというわけだ。

これは物性でいうところのスピンネットワークを高次元空間の「空間の素」のレベルでやり直したものである。

実は、まだ湯川秀樹博士が晩年でお元気の頃、ずっとあとになって保江邦夫先生が弟子になることになった名古屋大学の高林武彦博士が、この湯川秀樹の素領域理論のモデル化に挑戦した。それは高次元ではなく3次元空間の「空間の素」として球を定義して、その空間量子の球の上を励起していくものが電子であるというモデル化であった。すると、ちゃんとディラック方程式が見事に導かれたのである。たしか1960年代である。

それからずっと後の1980年代になって、まったく同じことをアメリカの物性論者がスピンウェーブの理論としてやり始めた。今度は1次元と2次元の低次元での話だ。ここに再び朝永ーラッティンジャーモデルが登場する。そして、そこに初めてトポロジーが現れ、ハルデーンがノーベル物理学賞を受賞した。



要するに、低次元の物性論と高次元の素粒子論との間で対応がつくわけだ。数学的にはほぼ等価になる(ことが多い)。

素粒子論→物性論
空間量子→原子
スピンネットワーク→スピンスピン相互作用


だから我々物性論者は、素粒子論者の考えることがリアリティーとして実際に現象として実感できるわけだ。ところが、素粒子論者はそういった実際の物性論の複雑さや微妙さをあまり知らない。数学的対応がうまくいく場面だけで満足してしまう。それがカルロ・ロベリ博士の本にも見て取れるわけだ。


原子でできた我々人間ですら、あまりに複雑であり、微妙である。巧妙にできている。しかも一過性の出来事だ。

というわけで、現実世界を知る我々には素粒子論者が言うような意味で「時間は存在しない」とか「時間の秩序」とかそういう安易な発想が理解できないのである。

そもそも彼ら素粒子論者が知っているのは、我々が宿敵として挑戦する「平衡統計力学」だけだからだ。いかに「非平衡統計理論」を生み出すか、このために我々熱統計物理学者は生きているといっても過言ではない。

我々は普通の人が言うような意味でのエントロピーやその増大の法則を信じていない。エントロピーの概念も「平衡統計力学」の概念に過ぎないからだ。しかしながら、彼ら素粒子論者もそれを真に受けている。というわけで、私は素粒子論者に「おバカさ」や「軽薄さ」をいつも感じるのだ。

おそらく、「確実性の終焉」を読むと、プリゴジンも私と同じような考えを持っていたと見て取れるのだ。

簡単にいうと、エントロピーの増大の法則には「時間の概念」が曖昧である。平衡系の概念だから、その増大のスピードは無関係だ。だから、現象の前後の結果だけの比較に過ぎず、現象がいかように変化したかは記述できない。そこでプリゴジンの定義したように、エントロピー増大の仕方には最大原理がある。さらに、それを究極に一般化した杉田元宜博士のギブズの自由エネルギーの減少は常に最大であるという時間原理が入ると、系の全体的にはエントロピーが増大してはいるものの、その内部では局所的にはエントロピーが下がるものが誕生できるという、新たな地平が生まれるのである。

この意味で、時間は先行した概念であるというプリゴジンのアイデアに私は賛成である。





さて、もう一つの本は、我が国の超天才望月新一博士の研究を紹介した本だった。






これも最初の方を読み始めたが実に興味深い。

私は個人的に、望月博士の心の師匠であるだろうアレキサンダー・グロタンディークの思想が好きなのである。このグロタンディークの「数学者の孤独な冒険

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の中に、

俺はアインシュタインが物理で起こした革命に匹敵することを数学でやったのだ

という彼の言葉がずっと気にかかっているが、あまりに数学が理解し難く、いまだにそれが理解できないのである。






というわけで、グロタンディーク、その真の後継者の望月新一博士の研究には実に興味があるわけだ。

しかしその真髄は、この世界は実は無。なにもない。

それはあくまで工学の言葉で言えば「情報」、物理の言葉でいうと「スピン」、スピリチュアル系の言葉で言えば「霊・魂」。こういうもののネットワークでできている。

そして、その世界は我々が空間を作るとみる原子分子よりずっと小さいものでできている。だから、そういうものは原子分子でできた物質には自由に動き回ることができる。


いずれにせよ、プリゴジンの「確実性の終焉」は、ネルソン−保江の「確率量子化理論」と繋がり(おそらくそのものであり)、その確率量子場を生み出すには「素領域」や「空間量子」が必要になり、それを記述するにはグロタンディークと望月の数学が必要になる。私にはそう見えるのだ!



ますます現代の素粒子論がウンモ星人の物理学に似てきたと感じるところの井口和基



弥栄!



おまけ:
ここにはメモしなかったが、かつて長らく収容所生活を強いられたとしてノーベル平和賞をもらったロシアのサハロフ博士が若い頃に考えた、宇宙と反宇宙の対称性の破れが時間の矢を生み出したという理論もある。宇宙は物質ででき、反宇宙は反物質ででき、お互いに位相がずれている。プラスとマイナスの違いは180度の位相のズレと見ることもできる。宇宙がこっち向き、つまり過去から未来へ時間が流れるとすれば、反宇宙では未来から過去へ時間が流れる。しかしお互いに重なり合うが、現実にお互いが出会うことはないから、お互いに認知できない。しかし、物理的な相互作用を通じてお互いに影響を与えあって、双子の宇宙を形作っている。こういうような理論である。



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by kikidoblog3 | 2019-11-19 11:32 | 数・理・科学エッセイ

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