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新タイプの医療系物理の教科書ご紹介!:山田弘明博士、グッジョブ!

みなさん、こんにちは。

さて、忘れないうちに、最近購入した本をメモしておこう。

これは私の昔の共同研究者で、私同様にフリーの理論物理学者になられた、新潟の山田弘明博士の教科書シリーズをメモしておこう。以下のものである。

ところで、アマゾンの内容説明ではどんな本かまったく解らないだろうから、一応出版社の太陽書房のサイトの説明も加えておこう。


自然現象の数学(上)
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自然現象の数学(上)

第1章 数の多様性

1.1 はじめに
1.2 数体系の小史
1.3 様々な無限大
1.4 小まとめ

第2章 不思議な自然数

2.1 完全数、友愛数など
2.2 カプレカ数
2.3 ピタゴラス数

第3章 素数と素因数分解

3.1 素数
3.2 素数の応用例:公開鍵暗号
3.3 素数ゼミの謎

第4章 p進数

4.1 p進数
4.2 2進数と10 進数
4.3 2進数と有理数
4.4 -3進法

第5章 オーダー評価

5.1 概数
5.2 大きい数と小さい数
5.3 パラドックス:ちょっと変わった「数」に関する考察

第6章 数列

6.1 はじめに
6.2 等差数列(arithmatic sequence)
6.3 等比数列(geometric sequence)
6.4 等比数列の例
6.5 無限の概念
6.6 数列の一般項と極限値

第7章 フィボナッチ数列と黄金比

7.1 フィボナッチ数列
7.2 黄金比
7.3 自己言及文と連分数展開
7.4 こんなフィボナッチ数列も
7.5 植物と黄金角
7.6 動物と黄金比
7.7 幾何学:正5/2角形
7.8 応用
7.9 歯科関連

第8章 関数とグラフ

8.1 初等関数
8.2 ベキ関数と指数関数
8.3 対数関数
8.4 特別な底:ネイピア数
8.5 グラフの利用の意味
8.6 興味深い応用
8.7 三角関数

第9章 順位の法則

9.1 はじめに
9.2 ジップの法則
9.3 ジップの法則の例
9.4 パレートの法則
9.5 ベンフォードの法則
9.6 順位のベキ則の意味
9.7 ジップの式の導出

第10章 フラクタル

10.1 はじめに
10.2 フラクタル次元
10.3 フラクタル次元の実則
10.4 医療現場での応用例
10.5 意識や自然観との関連

第11章 つながりの科学

11.1 はじめに
11.2 ランダムネットワークとスケールフリーネットワーク
11.3 スケールフリーネットワークの特徴
11.4 スモールワールドネットワークの特徴
11.5 医療への応用

付録

付録A オーダー評価の課題
付録B 三項間漸化式による数列の一般項
付録C 対数螺旋の曲線
付録D 黄金比と連分数展開
付録E 黄金比についてのアンケート
付録F ネットワークの式の導出


自然現象の数学(中)

自然現象の数学(中) ‐微分・積分‐

第1章 序
1.1 微分積分のイメージ
1.2 注意として
第2章 微分法
2.1 定義、意味、準備
2.2 微分の性質
2.3 逆関数の微分
2.4 具体的な関数の微分(係数)
第3章 グラフと微分の応用
3.1 関数の最大最小
3.2 極値の分類判定法
3.3 使用例:ハトの最短飛行経路
3.4 曲率円
3.5 導関数に関するいくつかの定理
第4章 積分法
4.1 積分法のイメージ
4.2 定義、意味
4.3 積分の性質
第5章 積分応用
5.1 具体例
5.2 積分による収束判定法(integral test)
5.3 積分でしか表現できない関数
第6章 級数の性質
6.1 級数の収束判定
6.2 ベキ級数と収束
6.3 テイラー級数
6.4 漸近展開
第7章 微分方程式
7.1 微分方程式とは何か(1)
7.2 微分方程式とは何か(2)
7.3 解ける微分方程式の具体例
7.4 解けけない微分方程式の具体例
第8章 力学における微分方程式
8.1 力学系と微分方程式の一般論
8.2 多重振子
第9章 ベクトルの性質
9.1 ベクトルの導入
9.2 ベクトルの内積
9.3 ベクトルの外積
9.4 ベクトルと行列
9.5 極性ベクトルと軸性ベクトル、擬スカラー
第10章 偏微分と全微分
10.1 偏微分(偏導関数)
10.2 全微分と勾配
10.3 全微分と1 階の微分方程式
10.4 接線ベクトルと面積ベクトル
10.5 線積分・面積分・体積分
第11章 スカラー場とベクトル場
11.1 スカラー場とベクトル場
11.2 諸定義
11.3 勾配の意味
11.4 発散と回転の意味
11.5 マクスウェル方程式
11.6 ガウスの発散定理
11.7 ストークスの定理
第12章 全微分と線積分(力学、熱力学)
12.1 保存力の性質
12.2 力学的エネルギー保存則
12.3 準静過程とエントロピー
付録
付録A 三角関数などの微分
付録B 曲率と曲率半径
B.1 曲率半径
B.2 曲線のパラメータ表示と曲率
B.3 クロソイド曲線


自然現象の数学(下)
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自然現象の数学(下)

第1章 序
1.1 はじめに
1.2 ドレイクの方程式
参考文献
第2章 確率の基礎
2.1 はじめに
2.2 確率の基礎事項
2.3 余事象・包除の原理の例
2.4 応用:クーポン収集問題と新記録問題
2.5 条件付き確率とベイズの定理
2.6 ベイズの定理の応用:医療など
2.7 オスの三毛猫
2.8 ギャンブル
2.9 最適停止理論
2.10 客観確率と主観確率
2.11 ゲーム理論
2.12 ランダムとは何か
参考文献
第3章 確率変数と確率法則
3.1 確率変数と確率分布
3.2 離散分布の例
3.3 ランダムPoisson配置
3.4 連続分布の例
3.5 独立確率変数の性質
参考文献
第4章 統計学の基礎
4.1 はじめに
4.2 統計学の基礎と確率
4.3 統計基本量
4.4 代表値
4.5 相関と回帰解析
4.6 医療統計の例1[スクリーニング検査]
4.7 医療統計の例2[コーヒーの統計など]
4.8 仮説検定
4.9 まとめ
参考文献
第5章 ベイズ統計
5.1 はじめに
5.2 ベイズの定理の復習
5.3 ベイズ推定の例1
5.4 ベイズ推定の例2
5.5 仮説検定
5.6 連続変数への一般化
5.7 ベイジアンネットワーク
参考文献
第6章 確率過程入門
6.1 はじめに
6.2 一次元ランダムウォーク
6.3 一次元ランダムウォークの一般化
6.4 再生過程
6.5 時系列の相関と非定常性
6.6 確率過程とカオス
参考文献

付録A 高校課程の中での確率統計に関するアンケート結果
付録B 折れ棒モデル
付録C 個数の処理
付録D 37% の法則の証明
付録E ランダム列の作成
付録F いろいろな平均
付録G 高次のモーメントと特性関数
付録H いろいろな確率法則
付録I 確率密度分布の再考
付録J 測定と誤差
付録K 長距離相関列
付録L ポアソン過程に関する定理



私は消費増税前にこれら3冊を買ったのだが、最初はアマゾンの説明しかみていなかったことや、医療系の大学の1年生対象ということで、非常に初歩的なことしかないのかなと思っていた。

しかしながら、中を紐解くと、各節の最初に賢人や著名数学者の言葉があり、それぞれの内容の成立に関するエピソードも盛り込まれ、実に簡潔かつ要領よくまとめられていたのである。

ちなみに、医療系の大学というのは、日本歯科大学の新潟生命歯学部のことである。

簡単に独断でメモしておくと、

上巻は、数の起こりから始まり、最終的には21世紀初頭から急速に進歩したスケールネットワーク理論までがまとめられている。後半のフラクタル、ネットワーク理論等は、昨今の医療系でも必須になる概念である。そういうものが実に見事に導入されている。

中巻は、いわゆる微積分学がテーマになるが、それが医療系で高校生時代には数IIIを学ばず微積分を全く知らなかった学生たちにも解るように、微積分学が導入されている。そして極めつけは、大学の物理学の最大モニュメントになる、すなわち、高校生では学ぶことがないが大学に入って学び始めて最初の障壁となるベクトルの微積分まで導入されている。

下巻は、確率統計がテーマにになる。医療系ばかりか昨今では純数学者や物理学者にも必須となった確率論と統計理論、中でもベイズ統計に至るまでが簡潔に具体例を見せながら説明されている。

上中下のいずれも具体例を使って見事に計算例を見せ、逆に細かい証明は一切省いて数学嫌いや理論嫌いに陥ることのないような工夫がされている。

この意味では、数学本で幾多の証明に次ぐ証明、定理に次ぐ定理でうんざりしてしまうタイプの学生さんや人々にはうってつけの教科書と言えるだろう。

また、全巻を通じて章の最後により高度な専門書の参考文献がついている。

医療系の大学1年でこれだけ学べばかなり十分と言えるだろう。


私と違い、山田弘明博士は数値計算のプロでもあり、自分一人で自分の研究理論の結果をシミュレーションしたり数値計算したりしてきた数理理論物理学者でもある。

この意味では、数値に関する基本がしっかりできている。

つまり、このタイプの理論物理学者というのは、よくいる数学の定理を使ったり背理法や不等式論法などを使って解の存在証明を行って満足するというタイプとは全く異なり、定理や公式の結果と実際の具体例を計算してみせることにより、最後の最後の数値や係数までピタリと合うまでやってみてやっと「よっしゃー!」となるタイプの理論物理学者なのである。

ちゃんと理論の帰結とその理論を応用した結果とが厳密に一致しないと気がすまないタイプの理論物理学者なのだ。

こういう意味で、このシリーズは保江邦夫博士の数理物理方法序説シリーズとは対極に位置する教科書といえる。

最後にこの教科書は別に医療系の人だけのためというものではなく、効率よく現代の物理学に必須である初級数学を学びたいというような学生や一般人にも実に適していると言えるだろう。ぜひ買って勉強していただきたい。


山田さん、グッジョブ!




世の始まりですナ。



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by kikidoblog3 | 2019-10-01 10:13 | 本や著作の紹介

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